小児外科は生まれたばかりの赤ちゃん(新生児)から学童期(中学生:16歳未満)までのお子さん方の外科治療なら国立岡山医療センター小児外科まで。

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先天性食道閉鎖


出生2000~4000に1例程度の発生率とされています。先天的に食道が閉鎖しているのですが、上下の食道が気管と交通していることがしばしばあります。胎生の7週頃の食道や気管の形成期に異常があるため生じるのですが原因は多因子であり明確にはなっていません。病型は以下のA~Eに分けられ、その頻度は大まかにはA 10%、B 1%、C 85%、D 1%、E 3%程度です。

診療疾患画像
出生前診断
近年胎児超音波検査の進歩により多くの食道閉鎖が出生前診断されています。出生前超音波検査で胃が小さい、胃が見えない、羊水過多があるなどの所見を認めた場合疑われます。2005年4月1日から2008年3月31日までの当科(当院出生、他院出生含む)での食道閉鎖症例14例中出生前診断されていたのは6例(43%)でした。

食道閉鎖症に合併する疾患
半数近くの患児に、食道閉鎖症の他にも合併している疾患を認めます。心、気管、骨格、直腸肛門、腎泌尿器など様々な部位に先天的な疾患を有する場合があります。

診 断
口からやわらかい管を食道に入れていくと、上記のE型タイプ以外であれば食道の盲端部分で管が反転してもどります。これをレントゲン写真で確認することで診断ができます。AもしくはB型と、CもしくはD型とは消化管に空気が入っているかどうかで区別がつきます。また、食道と気管に交通があるかどうかを気管支鏡で確認を行います。

治 療
手術により上部の食道と下部の食道を吻合します。気管との間に交通のある場合はそれを処理する必要があります。また、上部の食道と下部の食道との間の距離が長く吻合が困難な場合は、胃を用いた食道延長術が必要となる場合があります。手術の合併症としては、縫合不全、吻合部狭窄、気管食道瘻の再発などがあります。非常にまれですが再手術が必要となる場合もあります。

予 後
食道閉鎖のみが原因で死亡することは現在ではほとんどなくなりました。しかし、出生体重が1500g以下で、重症な先天性心疾患を合併している場合は現在の医療水準でも生命予後は不良です。