小児外科は生まれたばかりの赤ちゃん(新生児)から学童期(中学生:16歳未満)までのお子さん方の外科治療なら国立岡山医療センター小児外科まで。

〒701-1192 岡山県岡山市北区田益1711-1
TEL 086-294-9911(代表) FAX 086-294-9255(代表)


ブログ


2020年7月24日

抜糸?

IMG-3091-2

こんにちは。大倉です。手術や処置の説明をしているときに、「抜糸はあるんですか?」と聞かれることが時々あります。そこで、今日は傷の縫い方と抜糸について少しお話します。 「縫い方」と一口に言ってもいろいろあるので、我々が日常的によくしている縫合について、重要なものを2つだけ。

手術室では、消毒して皮膚をしっかりときれいにして、メスでスッと切開します。ので、きず自体がきれいです。細菌もいないし、切り口もなめらかです。問題なく傷がくっつく可能性が高いです。このような場合、埋没縫合、といって、糸を完全に創部の中に埋め込むように縫います。ということで、抜糸はいりません!!傷跡も最低限しか残りません※。では糸はどうなるかというと・・・この縫い方をする時には、吸収糸、と呼ばれる、体内で溶けて自然になくなってしまう糸を使います。ので、糸が埋め込まれていても大丈夫!ということなのです。

 ※ただ、切開した創自体は線として残るので、全く0になる、ということは少ないです。でも、最終的には目立たなくなります。

では、外で遊んでいて転んでできた傷を、救急外来で縫う時はどうするかというと・・・そのような場合は、傷も汚くて、切り口もギザギザしていることが多いです。せっかく縫っても感染したり、皮膚のつきが悪かったりする可能性があります。こういうときは、単一結節縫合、という縫い方をします。この縫い方のメリットは、皮膚同士を確実に合わせやすく、比較的強い力で皮膚を合わせておくことができることです。デメリットは・・・抜糸がいることと、いわゆるムカデ傷のような傷跡が残る可能性があることです。ただ、汚い傷だと感染などのトラブルが起こりうるので、デメリットを考えてもこの縫い方をした方がよい!という場合があるんです。

上の写真での縫い方が、単一結節縫合、「抜糸がいる縫い方」です。あっ、これは、スポンジとかでできている、縫合練習用の模擬皮膚です。

ではでは、部屋の机の角で額を切ってしまった時・・・こういう場合は難しいですが・・・部屋の中の机ならそんなに汚い細菌はいないでしょうし、額だとムカデ傷は絶対つけたくない、ので、よくよく洗浄・消毒して、救急外来でも埋没縫合を行う場合もあります。きずの状況と、スムーズに治りそうかを判断して、縫い方を決めているのです。ということで、抜糸が必要な縫い方をするかどうかは、ある程度予想はつくけれども、その場の判断によるところもあります。気になることがあれば、遠慮なく担当医にお尋ねください!

LINEで送る
このエントリーをはてなブックマークに追加

新しい記事 <<

前の記事 >>