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2015年3月18日

腸重積になったら part2

高圧浣腸2

ご無沙汰しております。

前回更新してから1ヶ月経った今、お伝えします。ごめんなさい><

 

さて、腸重積、意外と診断は簡単だが腸重積と疑うまでが大変だと言うお話をさせていただきました。

一旦診断してしまえば治療に移るわけです。

当科では入院していただき病棟で高圧浣腸を行うこととしています。

高圧浣腸??はてなんでしょうか???

高圧浣腸とは肛門内にチューブを入れて栓をし、肛門から液体が漏れないようにした状態で肛門内に入ったチューブの先端から液体を注入していき、圧を高めて腸重積の先にその圧をかけることによって腸重積を元の位置まで戻しなおしてしまう方法です。

見出しの図に描いてみました。なんとなく理解できるのではないでしょうか?矢印が圧がかかっていく方向です。

この方法で当院では95%以上で腸重積を整復(治療)できています。

では残りはなんですか?と言う話になりますが、中には治らないものや高圧浣腸の合併症である、腸が圧に負けて破れてしまう、などがあります。

絶対安全とは申し上げられないのですが、がしかしほとんどがこれで治療できてしまうこと、これで治らない場合は手術する必要があることを考えると、手術しなくて良い可能性があるならばトライしてみる価値はありますよね。

当科では生理食塩水を用いてエコーで腸重積を確認しながら整復しているのでリアルタイムで腸が今どんな状態なのかを確認でき我々としても安心して施行できています。昔はバリウムを使用して造影検査して透視しながら患者さんも自分達もX線被爆を浴びながら整復していました。が今はそんなケースは重症な腸重積でしか時に行うのみで滅多にありません。進歩しましたね~

 

また、腸重積の高圧浣腸については学会が提唱している治療ガイドラインなるものが存在します。

その方法を用いればどの施設でも高圧浣腸で腸重積が治せます。なので比較的どの施設でも治療できる体制が整っています。

 

がしかし、それだけで治療できなかった場合はどうするか・・・医療者なら悩むところです。実際にいくつかの施設から治りませんと私達に紹介していただいています。

では私達ならどうするのか??  答えは同じ高圧浣腸を行う、です。がしかし方法が違います。私達は圧をさらに上げるのです。これはガイドラインには載っていませんが、それでも私達は行っています。圧が上がるとそれだけ合併症のリスクが高まります。その理由は、一つはやはりそこまでいかないと治らない腸重積が存在すること、そしてもう一つはもし万一腸が破れてしまった場合、すぐに自分達で手術を行い治療できると言う点です。この2番目が特に大事です。何かあってもすぐに対応できる体制を整えているのは安心ですよね。

実際にはそこまでしても腸が破れることはほとんどありませんが・・・

もちろん当院では腸重積は当科が責任をもって治療させていただきます。

ちなみに再発がなければ(整復後24時間以内に再発しやすい)、翌日には退院可能です。 

 

うーん、なんか宣伝みたいな感じになってしまった・・・

ついつい熱がこもってしまい気づけばこんなに書いちゃいました^^

2週間ほどすると新年度が始まります。来年度の腸重積も高圧浣腸のみで治りますように。

以上、片山でした。 

 

 

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