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2020年6月16日

見えない壁の弊害

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 当分県外へ出ていません。多くの人は狭い世界で同じことを繰り返す日常を送っていることでしょう。思い返せば子供のころはそういう日常が普通でした。非常に狭い世界で満足して生きていました。本やテレビなどの媒体を通しての情報が知りうる外界でした。そういう情報に大いに影響を受けていました。

 昔とは社会の構造、情報の入りやすさは異なりますが、やはり閉じた社会では情報を持っている人の数が限られ、情報を提供する媒体の数も限られます。必然的にそれぞれの媒体の相対的な影響力は強くなります。テレビもインターネットも、視聴者が興味を示すような真偽不明な情報を流していますが、現状の見えない壁のある社会では自分で見聞きすることができない以上、個人個人がそこから真実を選別し、抽出しないといけません。容易ではないし、誤情報もとに判断をしないといけないことにもなりかねません。人の移動が制限された中で、メディア関係者は影響力の大きさを認識して、普段より注意して情報を提供する責任があると思います。人の流れが止まること、直接見聞きできないことの弊害でしょう。

 小児外科医療に関しても同じようなことが言えるかもしれません。一つの施設にとどまり、入ってくる情報が、論文のみであると大きな弊害が生じます。論文には往々にして、うまくいっていることが誇張され、うまくいっていない部分が小さくされて書かれていることがあります。真実が分かりにくい場合が多いのです。わたくし自身10年以上前になりますが、1年間欧米の複数の施設で手術をみる機会がありました。百聞は一見に如かず、です。聞いていた以上に素晴らしい場合もあれば、期待外れの場合もあります。やはり直接その場に行くと五感で情報収集できるので、得られる情報は圧倒的に多く、真実に早く到達することができます。

 Web上での情報のやり取りも便利ですが、できるだけ早くCOVID-19が収束し、目に見えない壁が取り除かれて、自由に移動ができる日常が戻ることを願っています。

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