小児外科は生まれたばかりの赤ちゃん(新生児)から学童期(中学生:16歳未満)までのお子さん方の外科治療なら国立岡山医療センター小児外科まで。

〒701-1192 岡山県岡山市北区田益1711-1
TEL 086-294-9911(代表) FAX 086-294-9255(代表)


ブログ


2013年11月10日

便秘症

トイレ

岡山医療センターは岡山市の中心部から北にはずれたところにあります。高速道路の入り口は目と鼻の先、岡山空港までも車で15分程度でしょうか、そういう点では便利なのですが、繁華街にちょっと食事にでるということができません。そのため普段は規則正しい生活を余儀なくされているわれわれですが、これから年末にかけては忘年会シーズンです。この時期ばかりははるばる街まで出かけます。しかし不規則な生活、偏った食生活をすると規則正しい排便は得られません。本日は前回に引き続きうんちの話です。
成人女性では便秘で苦労されている方が多いことはよく知られていますが子どもでも便秘で苦労する場合があります。学童期の子どもで約5-10%が便秘の可能性があるとされています。特に背景に特別な病気がなくて長期間に渡り便秘症状がある場合、慢性機能性便秘症ということになります。ここで背景に特別な病気がないということですが、便秘の背景にある可能性のある代表的な疾患としてはヒルシュスプルング病があげられます。この病気は腸を蠕動させる神経節や神経細胞が肛門側からさまざまな長さに渡って存在しないことで、便秘症状を呈します。この病気は小児外科で診断、治療できます(ほとんどの場合は肛門から悪い部分の腸を切除できるので傷が残りません)。現在便秘の診断基準としては、RomeⅢ基準というものが最も一般的に用いられていますが、基本的には十分な量のうんちが出るのが1週間に2回以下で、うんちが硬くて出すのに苦痛を伴うとか、おなかが痛いとか、便が少しずつパンツに漏れるとか、何らかの症状を伴えば便秘症といえるでしょう。慢性機能性便秘症では便が長期に大腸に停滞することで水分が吸収され硬くなり、また出しにくくなり、便の停滞時間が長くなる、という悪循環に陥っています。治療は硬くなった直腸にある便を浣腸などで出しきり、その後長期にわたり浣腸や下剤で便を貯留させないようにコントロールしていくことが重要です(われわれの施設では、浣腸でまずたまった便を出しきってもらい、以後浣腸および/もしくは下剤を使用してもらっています)。もちろん食事や排便の習慣を身につけさせることも同時に行ってもらいます。食事としては、水分を十分に摂取すること、食物繊維の多い野菜や穀物、果物をしっかりと摂取すること、が大切です。排便習慣、トイレトレーニングのため毎日朝食後、時間がなければ夕食後でもいいので5分か10分トイレに座らせましょう。でなくても叱らない、うんちができたらしっかりと誉めてあげてください。‘便秘でごはんが食べられなくなって体重が増えなくなって、便秘を治療するとごはんも食べられるようになって体重が増えだした’、というようなお子様もいらっしゃいます。毎日良いうんちを出して健康にすくすく育ちましょう。中原でした。

LINEで送る
このエントリーをはてなブックマークに追加

新しい記事 <<

前の記事 >>